「輝く今日を見つめて」2015.3.16

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合成の誤謬(ごびゅう)

3月9日、2014年経済成長率が内閣府から発表されましたが、アベノミクス
むなしく実質で?0.03%と2011年以来3年ぶりのマイナス成長となって
しまいました。

消費増税で著しく経済が落ち込んだ第2四半期からのV字回復を見込んでいた
政府の見通しが甘かったわけですが、一方でこの展開を予想して増税に強く
反対していた専門家もいました。

中でも、ノーベル経済学賞の受賞者でもあるクルーグマン氏の指摘には
多くの参考になる点があります。氏が現代ビジネスの「ビジネスVS経済学」
というコラムで述べたことはこういった間違った政策が取り入れられて
しまう背景をずばり説明してくれます。
 
氏はコラムの中でビジネスリーダー達の政治に対する口出しがこの原因で
あると述べています。氏によれば彼らは国(政府)と企業の違いを理解して
おらず、企業経営上は正しいが政策上は正しくないことを、権威を持って
提案するため、多くの国民がそれにだまされ間違った政策が延々と行われて
しまうのだそうです。

そういえば、消費増税に関しても経済界のトップ達は口を揃えて増税やむ
なしという意見でしたね。では国と企業の違いとは何なのでしょうか。
氏はこう答えます。「企業においては、自社の従業員に売る自社製品は全体の
ほんの僅かに過ぎない。

一方国は、非常に小さな国であっても、ほとんどの商品とサービスを売る
相手は自分たち自身なのだ。つまり問題がある経済に対し、ビジネス
リーダーは自社が問題を抱えたときに行うであろう緊縮経営、つまり緊縮
財政を提案しがちだが、現実には、不景気なときに賃金や支出を削減すると、
本当の問題、すなわち不十分な需要という問題をひたすら悪化させることに
なる。」
 
まさに個々(企業)で見れば正しいことが全体(国)で行われると正しく
なくなってしまうという「合成の誤謬」の典型的な例です。考えてみれば
当たり前で、不十分な需要という条件下で、需要を削る行為をしているわけ
ですからいつまでたっても問題が解決されるわけがありません。

当初、アベノミクスで特に第二の矢が示されたとき、国土強靭化という
大義名分のもと多くの需要が生み出されると、クルーグマン氏に近い考え方の
専門家は見通しを明るくしていましたが、いつの間にか三本の中で最も目立た
ない矢となってしまったことに失望しているというのが現状です。

日本のマイナス成長を見抜いていた人たちはこの結果を受けて政府が
需要刺激、あるいは需要創出に積極的に動くよう方向転換できるかどうかに
日本経済の復活がかかっている、と分析しています。

現在、日本経済はまさに分水嶺にあるのかもしれません。
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